3月は別れの季節、4月は出会いの季節と春には別れと出会いの両方が訪れる季節です。
卒業、入学をする子どもは不安や期待を胸にこの時期を過ごします。
また、新しい環境に子どもが飛び込んでいくのを見守る親もまた不安や期待という感情を抱きます。
ここでは、幼稚園から小学生に上がるときに、なぜ親も不安になるのか、また親が子どもにできることやその不安が与える子どもへの影響についてお話していきます。
子どもの入学前、親が不安になる理由
まずは、子どもの入学前になぜ親が不安な気持ちになるのかについて理解する必要があります。
その原因を理解が、子どもと接するときの行動の変化に繋がります。
「できておいた方が良いですね」の先入観
不安の原因の1つに、さまざまなところから入ってくる情報の多さがあります。
良くあるのが、幼稚園から「小学1年生になるまでに、これはできておいた方が良いですよ」などと言われるときがあります。
また、小学校の1日入学などでも、同じようなことを言われることがあります。
学校によっては、入学前に身につけておいてほしいリストなどを渡されます。
また、ママ友などとの会話から「これができないと、学校になじめなくなるらしい」などというような会話が出ます。
このような多くの情報を元に先入観が働き、不安な気持ちが増していきます。
では、この不安の気持ちを解消するにはどうしたらよいのでしょうか。
子どもは成長のスピードは様々
不安な気持ちを解消する方法として、認識しておくべき考え方は「子どもの成長のスピードには個人差がある」ということです。
入学前までにできた方が良いこととは、学校での集団生活をするとき、周りに迷惑をかけない程度の必要最低限の能力です。
例えば「先生の話を席に座っておとなしく聞けるか」「給食を残さずに食べられるか」「自分の準備を自分でできるか」などの行動です。
この行動も、もともと食べ物の好き嫌いが多い子どもは、すぐに偏食を直すことは難しく、時間がかかります。
その結果、偏食をする子どもは、給食を残さず食べることも難しくなり、逆に好き嫌いの少ない子どもは、給食を残さず食べることが比較的簡単と言えます。
このように、もともとの子どもの特徴や成長のスピードは個人差が出ます。
他の子どもができているからと焦ることはなく、その子どもにあった成長の仕方があるという認識を持つようにしましょう。
不安を持つ子どもへ親ができること
次に、入学前に不安な気持ちを持っている子どもに対して、親がしてあげられることについてお話していきます。
子どもも、入学前にできた方が良いことの中で、自分ができないことがあると、自然とそれに気付きはじめ、不安を抱きます。
そんな子どもに親がしてあげられることはなんでしょうか。
家でできない事を責めない
必ず意識しなければならないのが、家の中での生活でできないことがあってもそれを責めないということです。
入学前に子どもができた方がいい行動を、家で挑戦することが出てくることでしょう。
そのときに、できないことを責めない意識を持ちましょう。
できた事を褒める事から始めよう
できないことを責めない意識を持ちつつ、次に意識することは、子どもができたことを見つけ、褒めてあげることです。
重要なのは、すでにできていることを褒めつつ、できていないことも取り組んでいくことです。
例えば、外に持っていっていた荷物を玄関に置きっぱなしにしてしまう子どもは多くいます。
小学校では、それぞれ教室に自分のロッカーや机があり、自分のものを決められた場所に片付ける必要がでてきます。
これを、おもちゃで遊んだ後と照らし合わせ、遊んだものを決められた場所に片づけることができればそこを褒めてあげます。
褒めつつも「 おもちゃを片付けられたなら、自分の荷物も帰ってきてから自分の部屋に持っていけるね』というように、いまできていない行動をできるような声かけをしてあげると効果的です。
このような伝え方であれば、叱るわけでもなく、褒めつつになるので、親のストレスも減り、子どもも受け入れやすくなります。
親の気持ちは子供に伝わる
子どもは、親のことをよく見ています。
親が、自分に対して不安な気持ちを持っていて、焦りが見えてしまうと、子どもも不安な気持ちが増してしまいます。
小学校での生活は「自立」「勉学」「社会生活」を学ぶ、子どもにとって大きく成長を機会です。
親や幼稚園の先生などが世話をしていた今までと環境が変わるわけなので、当たり前に不安は出ます。
しかし、そこで焦らずに子どもがどこまでひとりでできるのかを見てあげると良いでしょう。
こどものできる事、できない事を把握しましょう
まずは、こどものできることと、できないことを把握しておく必要があります。
それが分かっていれば、対処方法が分かるので、焦らずに対応することができます。
できることを探すには、いろいろとやらせてみる必要があります。
行動では「ひとりで着替えができるか」「小学校に行く道を子どもに先導させて歩いてみる」「友達とけんかしたとき自分たちだけで仲直りできるか」など、学習面では「自分の名前が書けるか」「ひらがなや数字が読めるか」などを確認していくといいでしょう。
できない事には焦らず、ゆっくり見守りましょう
できないことが分かった後に「これをできるようにしなくては」と焦る必要はありません。
先ほどもお話した通り、子どもの成長するスピードは個人差があります。
焦ってできるようにするのではなく、それがその子の成長の仕方なんだと理解し、日々の中で無理なくやらせるぐらいの気持ちで見守ってあげましょう。
親の不安は子供の不安

親の不安は子供の不安でもあります。
親が持つ不安な気持ちを子どもにぶつけるのではなく、ゆっくりとできることを増やしていってあげましょう。